医療現場の英語

医療現場で使われる英語を解説します

colonic diverticulitis

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大腸憩室炎

大腸の内層に憩室と呼ばれる小さな膨らみが出来る場合があります。40歳を過ぎるとよく出来、まれに障害が起こります。大腸憩室は大腸の筋肉層を介した粘膜下組織に出来るヘルニアです。憩室症の疾患として憩室炎、痛みを伴う憩室症、および後遺症を伴う憩室症があります。

 

病態

大腸憩室症は良く見られる疾患で、中年成人で10%が罹患し、80歳以上の高齢者では50から80%が罹患しています。これに対して、40歳未満では憩室症に罹患している人は少数です。しかし、ほとんどの患者は罹患していることに気づいていません。憩室症は主に繊維質の食物摂取が少ない欧米諸国に多く見られる疾患です。若い男性で肥満していると憩室症を発症するリスクが高くなります。

 

病理

憩室症患者は一生を通して、約10から25%が憩室の感染や炎症である憩室炎を発症します。憩室炎は憩室嚢にある微細なデブリが血管を圧迫し、侵食により微細な裂孔が生じて発症する説が有力です。憩室炎はS状結腸に最も多く発生し、嚢胞、遊離穿孔、腸閉塞、及び瘻孔を併発することがあります。

 

症状

憩室炎を発症すると食欲不振、左下の腹痛、及び発熱が現れます。また、患者によっては、下痢、便秘、吐き気、嘔吐、排便や排尿異常、左下腹部の圧痛が現れます。腹膜に炎症の徴候がある場合は(腹壁を静かに圧迫し、急に圧迫を解くと、疼痛を強く感じる徴候である。反跳痛ともよばれる)有利穿孔が疑われます。無痛で直腸出血があるときは憩室からの出血が疑われます。憩室症患者の5%で大量出血があります。急性憩室炎では憩室からの出血はまれです。

 

診断

患者の70から80%に白血球増加症が見られます。憩室炎が膀胱に隣接して発症すると、膿尿症が起こります。憩室炎と紛らわしい疾患として胃腸炎、虫垂炎、炎症性腸疾患、及び穿孔性大腸癌があります。

 

CT撮影では憩室炎の有無と位置の特定の他、大腸憩室、結腸周囲脂肪による炎症、及び厚さが4mm以上の大腸壁を映し出すことが出来ます。

 

バリウム造影でも憩室を映すことが出来、穿孔や膿瘍形成時に大腸に液貯留が有るか判別出来ますが、急性憩室炎発症の場合は、バリウムや通気により大腸穿孔のリスクが高まるのでバリウム造影は禁忌です。

治療

憩室炎に合併症を併発しない場合は、入院せずに広域抗生物質で治療を行います。患者は清澄流動食から初めて、症状が改善するに従って、通常の食事に切り替えていきます。口から食事ができない患者は水分補給と経静脈抗生剤投与のために入院が必要になります。

 

憩室切除による死亡率は1から4%です。これに対して、切除を行わない対症療法でも死亡率は低く、人工肛門形成を必要とするケースは少数で、更に費用も低額です。

 

しかし、40歳未満の患者では憩室炎の症状が重くなる場合があるので、最初に憩室炎を発症後に、憩室の切除が推奨されています。免疫不全患者は感染リスクが高まるために、憩室炎を発症した後、早期の憩室切除でリスクを減らすことが出来ます。

 

S状結腸に憩室炎が出来た場合は、腹腔鏡手術により憩室切除が行われます。憩室に膿瘍がある場合はCT下排膿を行い、通常約6週間後に憩室切除を行います。憩室切除に腹腔鏡を使用すると入院期間が短くなり、職場復帰を早めることが出来ます。

 

憩室炎に合併症を併発すると死亡率は6.5%と高くなり、病的状態である割合は41%になります。穿孔性憩室炎でなければ、死亡率は2%以下に低下します。高齢、免疫抑制剤の服用、疾病前の病状(特に、心臓疾患や呼吸器疾患)、及び穿孔性憩室炎は術後の病状が悪化します。

 

予防

繊維質の食事の摂取と抗生剤の服用を12ヶ月継続することにより症状が軽減するとの臨床研究があります。非ステロイド性抗炎症薬の服用は憩室穿孔のリスクが増大することが知られています。

 

予後

憩室炎を発症すると通常2から3日で病状が改善します。憩室炎再発のリスクは25%以下です。憩室炎を再発した場合、憩室炎のさらなる再発率は50%を超えます。憩室炎を再発する場合は、憩室炎の有る大腸の部位の切除が推奨されますが、切除後25%の患者で大腸の不調や痛みを訴え、10%の患者で憩室炎が再発します。

 

Keywords

圧痛 tenderness;胃腸炎 gastroenteritis;液貯留 fuid collection;S状結腸 sigmoid colon;炎症性腸疾患 inflammatory bowel disease;仮性憩室 pseudodiverticulum;憩室 diverticulum;憩室炎 diverticulitis;憩室症 diverticulosis;憩室嚢 diverticular sac;経静脈抗生剤投与 intravenous antibiotics;広域抗生物質 broad-spectrum antibiotics;CT撮影     CT radiography;水分補給 hydration;清澄流動食 clear liquid diet;穿孔性大腸癌 perforating colon cancer;対症療法 expectant management;大腸憩室症 colonic diverticulosis;通気 insufflation;内層 lining;粘膜 mucosa;粘膜下組織 submucosa;膿尿症 pyuria;膿瘍 abscess;白血球増加症 leukocytosis;バリウム造影 barium radiography;病的状態 morbidity;ヘルニア herniation;便秘 constipation;膀胱 bladder;免疫不全 immune system compromise;遊離穿孔 free perforation;瘻孔形成 fistula formation