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医療現場の英語

医療現場で使われる英語を解説します

autophagy and medicine

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オートファジーと医学

オートファジーと脳神経疾患

オートファジーは老化を抑制する機構であることが分かってきました。加齢により、オートファジーの機能が低下することが、研究で判明しており、老化におけるオートファゴソーム形成抑制やタンパク質分解活性の低下が知られています。オートファジーは細胞内小器官を含む細胞質成分の代謝を行っており、オートファジーが非活性になると、変成タンパク質や異常なミトコンドリアが蓄積します。オートファジーが行っている細胞質浄化機能が、加齢によって低下し、これにより、脳神経疾患であるパーキンソン病やアルツハイマー病が発症します。

 

オートファジーと癌

オートファジーは癌の増殖を抑えたり、増殖させたり、真逆の機能を持ちます。オートファジーは飢餓状態にある腫瘍細胞や、アポトーシス媒介物の働きを抑制して、腫瘍細胞の生存を助けます。このとき、オートファジーにより生存をはかろうとする細胞にオートファジー抑制物質(たとえば、クロロキン)を使用すると、抗がん剤で殺傷される癌細胞の数が増加します。

 

腫瘍抑制因子

オートファジーを制御するタンパク質Beclin1を変化させた実験が行われ、この遺伝子を異型接合型に変化させると、腫瘍ができやすくなり、Beclin1を過剰発現させると、腫瘍の増殖が抑制されることが、マウスを使った実験から、判明しました。壊死や慢性的な炎症もオートファジーで抑制されることが判明しており、オートファジーにより腫瘍細胞の増殖を抑制することが可能です。

 

腫瘍細胞の生存

更に、オートファジーは腫瘍細胞の生存に大きな役割を果たしているいることも分かってきました。オートファジーに関係する遺伝子の発現を抑制することにより、細胞死が加速します。オートファジーにより代謝エネルギーの増加が抑制されます。この代謝ストレスとして低酸素症、栄養失調、及び増殖があります。

 

ストレスによりオートファジーが誘発され、ATPがリサイクルされ、癌細胞の生存が持続します。オートファジーにより細胞内のエネルギー産生が維持され、腫瘍の増殖が可能になります。腫瘍細胞内のオートファジー遺伝子発現を抑制すれば、腫瘍の退縮や腫瘍により影響を受けた臓器を生存させることが出来ます。更に、オートファジーの抑制により抗癌治療の効果を高めることが可能になります。

細胞死のメカニズム

細胞に極度のストレスが与えられるとアポトーシス又は壊死により細胞が死滅します。オートファジーの動作を引き伸ばすことにより、タンパク質と細胞小器官の交代率が高まります。しかし、アポトーシス閾値の高い癌細胞は死滅します。この手法により癌治療が可能になります。

 

オートファジーの医学への応用

オートファジーを応用することにより、癌治療が可能です。オートファジーには腫瘍を抑制する機能と腫瘍細胞を生存させる機能の両方があります。従って、オートファジーの性質を使って癌を防止することが出来ます。最初に、オートファジーを誘発して腫瘍の増殖を抑制します。次に、オートファジーを抑制して腫瘍にアポトーシスを誘発します。オートファジー誘発時に、薬剤による抗腫瘍効果を調べます。オートファジーの効果は薬剤の用量に比例して増強します。薬剤の用量と癌細胞の増殖が直接関係していることを示しています。このことからオートファジーを強化は癌治療に有効であることがわかります。オートファジーは恒常性を維持するためのタンパク質分解システムであり、オートファジーの抑制により癌細胞にアポトーシスが起こります。

 

これらの知見から、オートファジーを誘発するためのタンパク質の経路の抑制が抗癌治療の効果が期待できます。

 

Keywords

異型接合型の heterozygous;栄養失調 nutrient deprivation;壊死 necrosis;オートファジー autophagy;クロロキン chloroquine;抗癌剤 antineoplastic drug;交代率 turnover rate;細胞小器官 organelle;腫瘍抑制因子 tumor suppressor;退縮 regression;低酸素症 hypoxia