日本人が使いこなせない英語

医療現場で使われている英文を考察します。

授与動詞では強調したい目的語が文頭に配置される。

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Ditransitive verbs (double-transitive verbs) that have indirect object and direct object 

 

動詞には直接目的語と間接目的語の2つの目的語を持つものがある(授与動詞)

 

例文1

The orthopedist wrote(a) the osteoporotic patient(b) a prescription(c) for a bisphosphonate drug against the disease.

 

整形外科医は骨粗鬆症患者(b)にこの疾患の治療薬であるビスホスホネート薬の処方箋(c)書いた(a)

 

用語

bisphosphonate drug ...  ビスホスホネート薬(骨を壊す過程を抑えて骨量の低下を抑え、骨を強くし骨粗しょう症による骨折などの危険性を低下させる薬)

orthopedist ...  整形外科医            

osteoporotic ...  骨粗鬆症の           

 

解説

(a) ...  「write」は授与動詞で間接目的語と直接目的語を持つ。

(b) ...  「patient」は授与動詞の間接目的語である。

(c) ...  「prescription」は授与動詞の直接目的語である。

 

 

 

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写真: 抗凝血剤ヘパリン

写真出典: Kaiser Permanente

 

 

間接目的語が短い場合は代名詞の場合は例1のように間接目的語の後に直接目的語が配置されるが、間接目的語に長い修飾語が付くような場合は「to」又は「for」で始まる前置詞句に置き換えて、直接目的語の後に配置される。

 

例文2

The orthopedist wrote(a) a prescription(b) for a bisphosphonate drug to the osteoporotic patient(c) who was diagnosed as osteoporosis that most likely results in bone fractures.

 

整形外科医は骨折を引き起こす可能性が非常に高い骨粗鬆症と診断された患者(c)にビスホスホネート薬の処方箋(b)書いた(a)

 

用語

osteoporosis ...  骨粗鬆症

 

解説

(a) ...  「write」は授与動詞で間接目的語と直接目的語を持つ。

(b) ...  「prescription」は授与動詞の直接目的語である。

(c) ...  「patient」には前後に長い修飾語が付いているため「to」で始まる前置詞句に置き換えられて直接目的語の後に配置されている。

 

 

 

間接目的語が主に「to」で始まる前置詞句で置き換える授与動詞の例

give, lend, offer, pass, pay, post, promise, read, sell, send, show, teach, tell

 

例文3

Individuals(a) at risk of breast or ovarian cancer can be offered(b) surveillance, chemoprevention, or surgery(c).

 

乳ガンまたは卵巣ガンのリスクがある(a)には監視、化学療法による予防、または外科手術(c)提供 (b)可能である。

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用語

chemoprevention ...  化学療法による予防

breast or ovarian cancer ...  乳ガンまたは卵巣ガン

surveillance ...  監視

 

解説

(a) ...  「individuals」は授与動詞「offer」の間接目的語で受動態により主語として表されている。 医学などの科学の分野では動作の主体より動作の対象が重要であるため、動作を対象を主語として表す受動態が多用されている。この例では授与動詞の間接目的語が強調されている。   

(b) ...  「be offered」は授与動詞の受動態。

(c) ... 「surveillance, chemoprevention, or surgery」は授与動詞の直接目的語。 

 

 

例文3を能動態で表すと例文4のようになる。

 

例文4

The clinician(a) can offer(b) surveillance, chemoprevention, or surgery(c) to individuals(d) at risk of breast and ovarian cancer.

 

解説

(a) ...  例文3では受動態のため動作の主体である「clinician」が省略されていたが、能動態のため動作の主体が表されている。

(b) ...  授与動詞「offer」は間接目的語として「to」で始まる前置詞句が使用されている。

(c) ...  「surveillance, chemoprevention, or surgery」は「offer」の直接目的語である。

(d) ...  「offer」の間接目的語は修飾語で長くなっているために「to」で始まる前置詞句に置き換えられ直接目的語の後に配置されている。

 

 

 

例文3の授与動詞の直接目的語を強調すると例文5のようになる。

 

例文5

Surveillance, chemoprevention, or surgery(a) can be offered(b) individuals(c) at risk of breast and ovarian cancer.

 

監視、化学療法による予防、または外科手術(a)が乳ガンまたは卵巣ガンのリスクがある(b)提供(b)できる。

 

 

 

間接目的語が「for」で始まる前置詞句で置き換えることができる(「to」は使えない)授与動詞の例

book, buy, get, cook, find, keep, bring, make, paint, pour, prepare, save, win

 

例文6

For the anticoagulated patient(a) who undergoes cardiac catheterization, provisions(b) to withhold warfarin or heparin must be made(c) to reduce the potential for femoral puncture site's bleeding complications.

 

抗凝血剤の投与を受けている患者(a)が心臓カテーテル検査を受ける場合は、大腿穿刺部における出血の併発を防ぐためにワルファリンやヘパリンの休薬の準備(b)行なわれ(c)なければならない。

 

用語

anticoagulate ...  血液凝固を抑止する

cardiac catheterization ...  心臓カテーテル検査

complication ...  合併症

femoral ...  大腿部の

heparin ...  ヘパリン

provision ...  準備

puncture site ...  穿刺部位

undergo ...  手術などを受ける

warfarin ...  ワルファリン

withhold ...  休薬する

 

解説

(a) ...  授与動詞「make」の間接目的語が修飾語で長くなっているため、「for」で始まる前置詞句に置き換えられている。この前置詞句は強調のため文頭に配置されている。

(b) ... 授与動詞の直接目的語が受動態の主語になっている。

(c) ...  授与動詞「make」が受動態で、義務を表す助動詞「must」を伴っているため「must be made」に変化している。